こんにちは。英会話キッズの「エレオ」です。お子さんをバイリンガル環境で育てているパパやママにとって、一番の心配事は言葉の発達に関することではないでしょうか。ネットでバイリンガルの言葉の遅れについて検索したり、ハーフの子で言葉が出ないという悩みを目にすると、不安になってしまいますよね。
特に3歳くらいになってもあまり喋らない状態だと、自分の育て方が合っているのか、あるいは言葉の混乱が起きているのではないかと、夜も眠れないほど悩んでしまうこともあるかもしれません。ボクも英語教育に関心を持つ一人として、その親心や焦燥感は痛いほどよくわかります。
エレオでも、安心してください。正しい知識を持つことで、その不安の多くは解消できるんです。
- バイリンガル特有の言葉の発達プロセスと「遅れ」の正体
- 言葉が出ない時期に脳内で起きているサイレントピリオドの仕組み
- 家庭で今日から実践できる具体的な語りかけや環境づくりの方法
- 専門家に相談すべき本当の危険信号と発達障害との見分け方
バイリンガルの言葉の遅れの原因と3歳までの基準


まずは、なぜバイリンガルのお子さんが「言葉が遅い」と言われがちなのか、その根本的な原因と、年齢ごとの発達の目安について見ていきましょう。一般的な基準とバイリンガル特有の基準には、実は大きな違いがあるんです。
ハーフの子で言葉が出ない背景と親の悩み
国際結婚のご家庭や、海外駐在、あるいは日本国内で熱心におうち英語に取り組んでいるご家庭でよく聞かれるのが、「同年代の子に比べて言葉数が少ない」という悩みです。
周囲から「日本語もしっかりしていないのに英語なんて入れるからだ」といった心ない言葉をかけられ、罪悪感を感じてしまうパパやママも少なくありません。特にハーフのお子さんの場合、親戚や学校の先生から「言葉が遅れている」と指摘されると、それが自分の教育方針のせいだと感じてしまいがちですよね。
しかし、ここで大切なのは「モノリンガル(単一言語話者)の物差し」で測らないことです。バイリンガル環境にある子どもたちは、二つの言語を同時に処理するという高度なタスクをこなしています。見かけ上の発語がゆっくりに見えるのは、実は脳内で膨大なデータを処理している最中だからかもしれません。
3歳で喋らない時の発達基準と環境要因


3歳になってもあまり喋らない、あるいは二語文が出にくいといった場合、多くの親御さんは焦りを感じます。でも、ここで確認したいのが「概念語彙(Conceptual Vocabulary)」という考え方です。
例えば、日本語だけの環境で育つ子が「りんご」「犬」という2つの言葉を知っているとします。一方で、バイリンガルの子が日本語で「りんご」、英語で「Dog」しか言えない場合、それぞれの言語だけで見れば語彙数は「1」となり、テストでは「遅れ」と判定されがちです。
しかし、「概念」の数で言えば、この子も「りんご」と「犬」という2つの概念を理解しているので、語彙力はモノリンガルの子と同等なんです。評価する際は、日本語と英語、両方の知っている言葉を足し算してあげてください。



合計数が年齢相応であれば、発達自体には問題がないことが多いんですよ。
言葉の混乱やダブルリミテッドの真偽
よく「二つの言葉を同時に入れると脳が混乱する」とか「どちらも中途半端なダブルリミテッドになる」という話を聞きませんか?これ、実は科学的には「言語混乱説」として否定されている古い常識なんです。
最新の研究では、赤ちゃんは生まれた直後から、リズムや音の違いで言語を聞き分けていることがわかっています。つまり、脳は最初から「日本語フォルダ」と「英語フォルダ」を別に作って処理しているようなものですね。
子どもが会話の中で「ルー大柴」さんのように日本語と英語を混ぜて話すこと(コード・ミキシング)も、混乱しているわけではありません。「この単語は英語の方がすぐ出てくる!」と脳が瞬時に判断して、コミュニケーションを成立させようとする、むしろ高度な能力の証なんです。
サイレントピリオドと発語開始の目安


新しい言語環境に入った時や、英語のインプットを始めたばかりの時期に、子どもが一時的に黙り込んでしまう現象を「サイレント・ピリオド(沈黙期)」と呼びます。
これは言葉が出なくなったのではなく、言わば「データのダウンロード中」の状態です。子どもは黙って周囲の言葉を聞き、文法やリズムを必死にインプットして、脳内で整理しているんです。この期間は個人差が大きく、数週間で終わる子もいれば、半年以上続く子もいます。
ここで無理に「喋ってごらん!」と強制するのは逆効果。水がコップから溢れるように、インプットが満タンになれば自然と言葉は出てきます。



この沈黙は、飛躍のための準備期間だと捉えて、温かく見守ってあげてくださいね。
バイリンガルと自閉症の特徴や違いについて
言葉が遅いと、どうしても「自閉スペクトラム症(ASD)ではないか?」という不安がよぎることもあると思います。バイリンガル環境が自閉症を引き起こすことはありませんが、見分けるポイントを知っておくことは大切です。
単なる言葉の遅れ(Late Talker)とASDの大きな違いは、「社会的なコミュニケーション」にあります。
- 親と目が合うか(アイコンタクト)
- 欲しいものを指差しで伝えようとするか
- 親の真似(バイバイなど)をするか
- 他者と楽しみを共有しようとするか
もし、言葉は出ていなくても、身振り手振りで必死に伝えようとしていたり、パパやママと視線を合わせて笑い合うことができれば、それは自閉症の特性とは異なる可能性が高いです。逆に、どの言語環境でもコミュニケーションの取りにくさがある場合は、専門的な視点が必要になります。
バイリンガルの言葉の遅れへの対策と家庭での支援


では、言葉の遅れが気になった時、家庭で具体的にどんなことができるのでしょうか。ここからは、今日からできるサポート方法や、注意すべきポイントについてお話しします。
発達障害と言語遅滞を見極めるポイント
「バイリンガルだから遅いだけ」と楽観視しすぎるのも、実はリスクがあります。本当に支援が必要な「発達性言語障害(DLD)」などの可能性を見逃さないためには、「二重の欠陥」という視点が重要です。
もし言語習得に障害がある場合、それは「苦手な英語」だけでなく「得意なはずの日本語」にも現れます。両方の言語で著しい遅れがあったり、言葉の理解そのものが難しい、指示が通らないといった場合は、バイリンガル環境のせいではなく、もともとの発達特性である可能性があります。
また、「折れ線型発達」といって、一度話せるようになった言葉が消えてしまったり、無反応になったりする場合は、早急に専門家に相談することをお勧めします。
家庭での対策と語りかけの具体的ルール


言葉の発達を促すために家庭でできる一番の効果的な方法は、良質なインプットと対話です。ただ聞き流すだけの「シャワー」ではなく、キャッチボールを意識しましょう。
おすすめなのが「リキャスティング」というテクニックです。例えば子どもが「ワンワン、来た」と片言で言ったら、「そうだね、大きな茶色いワンワンが来たね」と、正しい文法や少し詳しい情報を足して返してあげるんです。否定せずに正しい形を聞かせることで、子どもは自然と言葉のルールを学んでいきます。
また、家庭内での言語ルール(パパは英語、ママは日本語など)を決めるのも有効ですが、厳格にしすぎて親子の会話が減ってしまっては本末転倒です。



「宿題の時は英語」「お風呂では日本語」など、家族がストレスなく続けられる「緩やかなルール」で十分ですよ。
親の英語力や日本語維持に関する不安解消
「私の英語の発音が悪いから、子どもの言葉が遅れているのかな?」と悩むママもいますが、親の英語力はそこまで心配しなくて大丈夫です。それよりも大切なのは、「感情のやり取り」です。
言葉は心と繋がっています。親が苦手な言語で無理に話しかけて、表面的な会話しかできないよりも、親自身が一番感情を込められる母語(多くの場合は日本語)で、深く語り合う方が、子どもの情緒と言葉の「奥行き」を育てます。
日本語がおろそかになる(言語喪失)リスクについても、家庭でしっかり日本語の絵本を読んだり、日本の祖父母と話す機会を作れば維持できます。



親子の絆を作る言語を大切にしながら、第二言語をプラスしていくイメージを持ってくださいね。
専門機関への相談が必要なサインとタイミング


様子を見ていいのか、すぐに病院に行くべきか、判断に迷いますよね。以下のようなサインがある場合は、地域の保健センターや小児科、言語聴覚士に相談することをお勧めします。
- 1歳を過ぎても名前に反応しない、あやしても笑わない
- 1歳半で意味のある単語が一つも出ない
- 2歳で二語文(ママ、抱っこ等)が出ない
- こちらの言っていることを理解している様子がない
専門家に相談する際は、必ず「バイリンガル環境であること」を伝え、できれば両方の言語の総語彙数(日本語◯語+英語◯語)をメモして持っていくと、より正確な判断をしてもらえますよ。
まとめ:バイリンガルの言葉の遅れと向き合う
バイリンガル育児における言葉の遅れについて、原因や対策を見てきましたが、いかがでしたか?
多くの場合、それは「病的な遅れ」ではなく、二つの言語を一生懸命習得している過程での「一時的な静けさ」や「分散」であることが多いんです。大切なのは、周りの子と比べるのではなく、昨日のお子さんと比べてあげること。「伝えたい」という気持ちが育っていれば、言葉は後からついてきます。
焦らず、お子さんのペースを信じて、二つの言葉の世界を楽しめるようにサポートしてあげてくださいね。どうしても不安な時は、一人で抱え込まずに専門家を頼るのも親の愛情です。



ボクも、お子さんの健やかな成長と言葉の爆発期が来ることを、心から応援しています!
※本記事は一般的な情報を提供するものであり、医学的な診断に代わるものではありません。お子様の発達に不安がある場合は、専門の医療機関や公的機関にご相談ください。








